■ 短編小説
(読み切り)
すごく気持ちが良くて、心も体も変になりそうだった。
何度も腰が砕けそうになったけど、その時はいつも逞しい腕に支えられた。
この現象はたまたま起こったものなのか、それとも彼にとっては日常茶飯事なのか。
それは僕には分からない。
ラブホテルのベッドは素敵でした。
とてもフカフカで、屋根が付いていて、そこへ横になるとお姫様になったような気分でした。
彼のジャージは、とってもいい匂いがした。
香水なんかとは全然違う、大人の男の人の匂いがしたんだ。
早くアパートへ帰って、筋肉をまとったその体に包まれてみたい。
そんな思いが頭をよぎった時、彼の姿が突然視界から消えた。
それから僕たちは、ベッドの上で絡み合った。竜ちゃんの目は、ほんの少しだけ濡れていた。
そっと唇を重ね合うと、また幸せな時間が戻ってきた。
無駄だとは知りつつも、道路を歩きながら携帯電話を開いてみる。
案の定何度ボタンを操作しても、彼から連絡があった形跡は見つからない。
ベッドの横へ来ると、まずは右手で額に浮かぶ汗を拭った。
ブラインドが外の日差しを遮っていたので、そのスペースだけは妙に薄暗かった。
その振動は多分床にも響いています。
ママとパパが隣の部屋で寝ているので、僕はちょっとドキドキしてしまいます。
見つめる彼は、声もたてずに泣いていた。
彼はわずかに首を振り、「恥ずかしい…」 と蚊の鳴くような声でつぶやいた。
もうすぐだ。もうすぐその時がやってくる。
僕は彼の姿を食い入るように見つめ、やがて訪れるその瞬間に思いを馳せた。
その時すでに僕の頬は熱くなっていた。
これから行われる内緒の儀式は、僕にとってすごく恥ずかしいものだったからだ。
今日の出来事は、10年後の君にとって笑い話になっているだろうか。
もしも10年後の君が僕の隣で笑っていてくれたら、僕はきっとすごく幸せだと思う。
僕はずっと前から和成くんの事が好きだった。
彼の失敗を僕の失敗に変えた事で、僕は和成くんを自分のものにできると確信していた。
体は冷えてきたし、周りの人たちは本を読む事に集中している。
誰も僕の事を気にする人なんかいない。だから、そろそろやってしまおう。
僕たち2人は感情の起伏がよく似ていた。
僕にはその時、夏樹も自分と同じ事を考えているという確信があった。
甘えん坊な弟は学校が夏休みに入るとすぐに俺の所へやってきた。
たった半年離れていただけなのに、俺の目から見る弟は以前より少し成長していた。
次の日の午後。彼は元気よく僕の家へやってきた。
この時僕はまだ考えていた。どうしたら彼が泊まらずに帰ってくれるだろうか…と。
僕は初めてその写真を見た時大声を出して笑ってしまった。
そこに写っているのが幼い頃の自分だとは知りもせずに。
倦怠期を抜け出すには何かサプライズが必要なのかもしれない。
僕はその時、心の中でそう思っていた。
誰も人には言わないけど、そういう事ってよくあるじゃん。
友達とすごく話が盛り上がっちゃって、どうしても途中でその話を抜けるのが嫌で。
太一は泣きじゃくる僕を抱き締めて必死に慰めようとしていた。
でも僕はこの時どんな慰めの言葉も聞き入れる事ができなかった。
こいつの母親もこうしてオヤジをくどいたのかもしれない。
俺はふとそんな事を思い、畳の上に座って彼のベルトに手を掛けた。
最後の引越し。僕はお父さんからその言葉を聞いた時、本当にほっとして胸をなでおろした。
でも僕が最後に転校した中学のクラスメイトは最悪だった。
「そんな事も分かんねぇのかよ」
風間くんは、答えになっていない答えを口走った。僕には全然その意味が分からなかった。
1年前に俺と付き合い始めた頃、彼はもっと子供っぽい少年だった。
なのにこの1年で大きくなっちゃって…もう今では背丈も俺とほとんど変わらない。
その日は暑すぎた。草木が覆い茂る山の中は風通しが悪くてとても暑く、ものすごく湿気が多かった。
そして時々照りつける熱い太陽の光が、僕の体力をどんどん奪っていった。
俺は久々に弟の声を聞き、窓の外から隣のシートに座る弟へと視線を移した。
ユキナリ。俺のかわいい弟。茶色っぽい髪も、切れ長の目も、全部…すべてが大好きだよ。
『ボク』 プリンスは俺の事をそう呼んだ。
いつもの俺ならその時、「子ども扱いするな」 と言って彼の手を振りほどいたに違いない。
狭い玄関の内側からドアを開けると、健ちゃんが真っ青な顔をして目の前に立っていた。
彼は相当急いで来たようで、髪は乱れていたし、顔中汗まみれだった。
彼は僕の頭の上にあるタッチライトに触れ、ベッドの上に淡いオレンジ色の光をもたらした。
僕はこの時、いつもドキドキしてしまう。
中学校へ入学した日。あきらにヒトメボレ。その翌日。あきらに告白。
そしてそれから2週間後。俺は大好きな彼に別れを告げた。
あの時の僕の気持ちは、拓ちゃんには絶対に分からない。拓ちゃんは何も失った事がない。
そんな拓ちゃんに、あの時の僕の気持ちなんか分かるはずがない。
僕がゆっくり目をつぶると、兄貴の温かい唇が僕の口を塞いだ。
やっと気持ちが落ち着いたのに…兄貴にキスをされるとまた動悸が激しくなってしまう。
寒気がする。なんだか関節も痛む。もしかして夏風邪をひいてしまったのかもしれない。
僕は学校で具合が悪くなり、担任の先生に断わってから保健室へ行った。
正面にだんだん外の明るい光が見えてくる。もう出口は目の前だ。
とその時、俺はある事に気付いて出口の手前から細い通路を左へ折れた。
「ねぇ、僕…良ちゃんが好き」
言っちゃった。ずっとずっと良ちゃんの事が好きだったけど、とうとう言っちゃった。
■ 少し長めの小説
僕は今までに何度も智行の家へ泊まりに行った事があった。
でもこの次彼と一緒に過ごす夜は今までとは少し違う夜になるだろうと思っていた。
「何も心配しなくていいから、僕の所へ来て。明日の朝まで…一緒にいて」
俺はその時、どうして首を振る事ができなかったんだろう。
■ 連作
(拓也と誠の物語)
2つ年下の誠は中学2年生。彼は小柄で、今でもよく小学生に間違えられるという。
そんな彼のかわいい嘘は、とっても微笑ましいものだった。
誠は袖丈が長すぎるブレザーに身を包み、嬉しそうに笑いながら俺の目を見つめた。
すかさず彼にキスをすると、いつものようにふっくらした頬が桃色に染まった。
俺たちはその時、たしかに同じ空の下にいた。
本当は勉強なんかやめて、今すぐ彼の所へ飛んで行きたかった。
俺はしばらくすると誠を起こさないようにそっとベッドを抜け出した。
俺は彼が眠っている間に風呂で汗を流し、その後に誠の寝込みを襲うつもりでした。
震える手でそっと涙を拭った時、すごく誠に会いたくなった。
ずっとこの苦しみに耐えてきた彼を、思い切り両手で抱きしめてあげたいと思った。
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